ウッドヘッドが大幅な進歩を遂げたのは、1980年代からである。市場にあるクラブを見ても分かるように、それ以降ウッドヘッドは大きく変わった。もちろんそれ以前もいくつかの大きな変革はあったが、基本的にはウッドヘッドはパーシモンの時代が長く続いた。
ウッドヘッドに初めて大きな変革をもたらしたのが、1970年代の末に登場したステンレスヘッド、俗に言うメタルヘッドである。メタルヘッドとは、金属素材で造られたヘッドをさし、ステンレス素材を初め、チタンやジェラルミン、マルエージング鋼等さまざまな金属で開発されたヘッドの総称であるが、慣習的にはチタンヘッドなどと区別して、主にステンレス素材で造られたヘッドをメタルヘッドと呼ぶことが多い。
メタルヘッド出現当初は、容積が150cc前後と小さく、使用するには非常に高いスウィング技術とそれに見合った体力が必要とされ、またパーシモンに比べて違和感がありすぎるという理由もあって一般市場にはなかなか普及しなかった。
しかしパーシモンより確実に高い飛距離性能が認められ、プロも使いはじめると一般市場にも急速に普及し、パーシモンに取って代わってウッドヘッドの主流を占めるようになった。 1990年代では、ステンレスヘッドがさまざまな方向へ進化し始める。「キャロウェイ」の「ビッグバーサ」を皮切りにヘッドの製造技術や設計理論、また素材そのものまでが新たに進歩し、飛性的にメタルヘッドの大型化(200cc〜300cc)が進み、ほとんどのゴルファーが使用できる優れた性能を発揮することとなった。
現在では、ウッドヘッドの主役はチタンが獲得したと誰もが認めるが、次世代の主役の座につかんといわんばかりに、新たなメタルヘッド用の素材がさまざまなメーカーで日々開発され続けている。またそれに伴いヘッドの大型化も、今後さらに進行する傾向にあるといえるだろう。

アイアンヘッドは、初期の手鍛冶でつくられたものを別として、現在でも主流といえる軟鉄鍛造製ヘッドの時代が長く続いている。軟鉄鍛造製のヘッドは軟鉄を熱して金型にのせ、高圧でプレスするもので、現在ではかなり高精度になっているが、基本原理は古くから変化していない。
その改革の少なかった歴史に一石を投じたのが、1960年代末に初めて登場した「ピン社」のステンレス素材を使用したロストワックス製法(鋳造)のヘッドである。このモデルは素材や製法だけでなく、トゥとヒールに重量を集中的に配分するという画期的なトゥ&ヒール・バランス設計が採用されていた。これが現在のヘッド設計理論の主流となる周辺重量配分の基礎となり、後のキャビティバック形状誕生のきっかけとなっている。
このほかにも、「ホンマ」のアイアンに見られるような軟鉄鋳造製も存在するが、基本的には軟鉄鍛造製かステンレス鋳造製のヘッドの2種類が一般的である。 1970年代末に本格的キャビティバックモデルが登場し、1980年代に入ってから登場した「ピン・アイ�U」の影響で、米ツアーなどではプロもキャビティバックアイアンを使用するようになる。
80年代中盤では、カーボン製アイアンやステンレス製の中空構造アイアンなどさまざまな新製品が発売され、1988年に「ベンホーガン」から初の軟鉄鍛造製のキャビティバックアイアン「ホーガンエッジ」が登場した。
現在では、1992年1月に実施されたルール改正を機に、続々と登場した新ルール適合商品のフェースインサートタイプ(チタンフェース等)が主役となっている。また形状そのものも進化し、ウッド同様大型化の傾向がある。また素材面からみても積極的に合金などの新素材が採用され、単一素材にとどまらず、さまざまな異種合金を使用した複合ヘッドが普及してきている。ウッドと比較してしまうと、アイアンは20年以上革新的な進化を遂げたモデルが一般に普及しているといえないが、複合ヘッドをはじめ今後の躍進的な発展が期待できるであろう。
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